岐阜大学地域科学部を経営学部に改組・再編することに反対します

少し前に岐大1 と名大の経営統合の話題がニュースに流れましたが、今度はちょっと違うニュースが流れてきたので、紹介をしたいと思います。

岐阜大、96年新設学部「廃止」の大いなる波紋 地域科学部→経営学部、教員や学生は猛反発(東洋経済ONLINE 2018年12月18日6時30分配信)

岐阜大、96年新設学部「廃止」の大いなる波紋 | 学校・受験
「大学の暴挙だ」「退化だ」今回の問題を受けて開設された「岐阜大学地域科学部の未来を考える会」のホームページには、学生や卒業生によるこんなメッセージがびっしりと書き込まれている。九州出身だという卒業生…

記事によると、岐阜大学は2021年度(新元号3年)で地域科学部の募集を停止し、経営学部(仮称)を開設する方針を決めて学内の教育研究評議会に諮ったとのことです。
学部側は反発しており、今後どう展開するのか余談を許さない状況です。

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地域科学部は何をやっているのかよく分からなかった

さて、岐大の話をなぜ取り上げるかというと、私自身が岐大生だったことがあるからです。
2005年4月に入学し、2010年3月に中退するまで5年間、岐大生でした。
ただ、私は工学部でしたので、地域科学部のことはよく分かりません。
一時期所属したサークルに地域科学部の人はいましたが、その人自身「何をやる学部かよく分からない」と言っていた記憶があります。
この記事を書くにあたり、岐阜大学の入学アルバムを引っ張り出してきましたが、その地域科学部の紹介はこのようになっていました。

2005年度岐阜大学入学アルバムより

…やはり、よく分かりません。

ただし、全共(全学共通教育科目、他大学では教養科目)で地域科学部の教授(准教授だったかも)のまちづくりの授業を受けた記憶があり、おぼろげながら「なんかまちづくりとかそんなことが学べるのか」と面白そうなイメージを受けました。
…ですが、やはり、何がメインなのかよく分かりませんでした。

あらためて岐阜大学地域科学部はどんな学部なのか調べてみた

学部ウェブサイトを元に、どんな学部か簡単にまとめてみます。

岐阜大学 地域科学部 / 大学院 地域科学研究科

地域科学部は文系・理系にとらわれず、地域社会のあり方をグローバルな視点で捉えて、地域社会に貢献するという観点から、様々な知識を身につける事ができる学部だそうです。
現在は地域政策学科と地域文化学科の2学科に分かれていますが、入学時に選ぶのでは無く、2年後期から始まる専門セミナーで指導を受ける教授の属する学科に所属するようになるとのことです。
…面白そう。
フィールドワークを中心としたカリキュラムのため、様々な領域を幅広く学ぶことができます。
卒業生の進路は、公務員が3割程度ですが、そのほかにも様々な業種へ就職しており、卒業生の就職内定率は2013〜2017年度の平均で96.4%とのこと。また半数程度は地元企業・自治体に就職しています。

今から岐大に行くなら地域科学部に進学すると思う

2005年度岐阜大学入学アルバムより

正直、私は岐阜大学で進学する学部を間違えたと思いました。
当時、まちづくりなどに興味を持っていたため、全学共通教育でそういった授業を取っていたのです…
今から岐大に進学するなら地域科学部選びますね。
地域科学部に進学していたら、そういった研究ができて、もっと違う道に進んでいたのかなと思いました。

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地域科学部を無くすことは岐阜の独自性を損なう危険性がある

様々なことを学べるという利点はありますが、一方で、「地域科学部」という名前からこれと言った専門的なジャンルが特定出来ないというわかりにくさがあるのも事実です。
岐阜大学の場合、他の学部は「教育学部」「医学部」「工学部」「応用生物科学部2 」とありますが、他の学部と比べると学部名から受けるイメージとして「地域科学部は何をするところなのか?」という疑問はあります。
かといって、地域科学部のウェブサイトや紹介を見ても、これと言った専門性があるようなイメージを受けることができるとは言いがたい状況もあります。
そのため、より分かりやすい「経営学部」として改組・再編した上で、高度な専門性を持った人材を育てるために、入学時からより明確な目標を持った学生を集めたいという考え方も分からなくはないです。

しかし、全国の国立大学の中で初めて設置された地域系学部である地域科学部を、経営学部などというどこにでもありそうな学部にしてしまうのは、岐大のオリジナリティを損ねてしまいます
そんな状態で名大との経営統合が実現した暁には、事実上の「名古屋大学岐阜キャンパス化」を招きかねないのではないのでしょうか。

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また、経営学部を設置しているのは私立大学に多いようです。岐阜県内では瑞穂市の朝日大学、大垣市の岐阜経済大学3 、中津川市の中京学院大学、関市の中部学院大学4 に設置されています。5 また、隣県である愛知県内の私立大学でも数多くの大学に経営学部が設置されているようです。
いずれにしても、県内ですら4大学に設置されている学部を、わざわざオリジナリティを捨ててまで、後追いで岐大にも設置する必要性は果たしてあるのでしょうか。

岐阜市は名古屋という大都市からわずか50kmしか離れていません。私が住んでいた頃は景気の影響もあったでしょうが、岐阜市自体が名古屋のベッドタウン化しつつあり、岐阜市の求心力が低下していった頃でもありました。
私自身、何か買い物をする時には名古屋に行くことが常態化していましたし、日々見聞きするテレビやラジオも名古屋のテレビ局でした。
そんな岐阜における学問の中心であるべき岐阜大学が、大学自体のオリジナリティを損ねてしまうことは、「名古屋の植民地化」をより一層進める結果となり、ひいては岐阜市・岐阜県の独自性を損ないかねない危険性があります。
ことは一大学のみならず、岐阜地域全体の問題として考えるべきなのです。

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中退したとは言え母校、そして岐阜が好きだから

私は確かに岐大を卒業していません。
ですが、訳あって5年間も在籍し、縁あって5年間岐阜市に住んだことで、愛着はあります。
そんな岐阜大学・岐阜市がその独自性を失ってしまうとなると、残念でなりません。
地域科学部が岐大の、岐阜の独自性の証として残り続けることを願ってやみません。

  1. 岐阜大学のことを関係者は「岐大」と呼びます。「岐阜大」とは呼びません。この記事でも基本的に岐大と略します。 []
  2. 他大学では農学部に相当 []
  3. 2019年4月より岐阜協立大学 []
  4. 経営学部は各務原市に所在 []
  5. 抜けがあったら申し訳ありません。 []

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