誠意は言葉ではなく金。看護師は感謝されたくて仕事をしているわけではない

誰がやり出したのかは知りませんが、SARS-CoV-2/COVID-19に立ち向かっている医療従事者に対して、感謝の拍手をしたり東京銀座では感謝の鐘が鳴らされたようですね…
なんなら感謝の花火なんてのもあったようですが……

一ついいですか?

鐘なんかいらんねん!
金をくれ!誠意は金!

…と言うことで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2/COVID-19)との戦いの最前線ではありませんが、徐々に他人事ではなくなってきた精神科看護師の私が思う、看護師の現状とどうしてほしいかと示します。

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新型コロナウイルスを巡る精神科看護師の状況

他府県ではすでに精神科病院での院内感染が発生しているようですが、幸いにして、私の勤務する岡山県内ではそういった事態は発生していません。
しかしながら、既に準戦時態勢と言っても良い状態となっています。
例えば…

  • マスク着用の事実上の義務化
    • 同時にディスポマスクの使用制限
  • アルコール消毒液使用の適正化
  • 院内で発生した場合に“隔離” (1)精神保健福祉法による隔離ではなく、感染症対策として行うもの。できる病室の確保
  • 勤務するスタッフ及び出入り業者 (2)医療機材や食材、おしめなどの納入業者の検温

また、院内の感染対策の担当部署で連日のように対策を話し合ったり、各病棟のナースステーションのテーブル配置を変えて、向かい合わせにならないようにしたりしています。
患者さんに対しては、外出・外泊を控えてもらったり、家族等に対し面会の自粛要請 (3)精神保健福祉法の絡みで面会禁止にはできないとのこと。を出したりしています。

一般科の病院と違い、感染症に対応した設備があるわけではありませんし、内科的な業務があまりない環境ですので、慣れない事が増えてきたなという思いがあります。
しかし、病院は閉鎖的な環境ですし、期間にかかわらず入院している人は多数いますので、院内感染が起こると、広まりやすいことが懸念されています。
そのため、必死でSARS-CoV-2を院内へ入れないようにしているという現状があります。

医療・福祉職は負荷に見合った報酬が得られているか?

さて、私がこの記事を書こうと思ったきっかけは、Twitterで見かけたこれらのpostです。

「金の話しするなら看護師向いてない。」?冗談じゃないよね。
医療福祉職の大半は、元々負荷に見合った報酬を得られていないと思っています。
それは、これらの「他人に奉仕しろ」「金の話はするな」という、「自己犠牲を強いる」考え方が蔓延しているからです。
残念ながら、病院や施設の経営者にもそういった考えがあります。
今回のCOVID-19によって、普段よりもさらに重い負荷がかかっているのに、それでもなおそれに見合った報酬が無いのであれば、仕事をする気はおこりません。

何より、「人を助ける為に看護師になった」人ばかりではありません。むしろそれは少数派かもしれません。
私は、はっきり言って「食っていくために」看護師になりました。
大学中退したことで、とにかく収入を得るために紆余曲折はありましたが、看護師資格を取りました。
なので、看護師以外の仕事で家族を食わせることができるのであれば、他の仕事に就いたってかまわないと思っています。
そういった人から見ると、負荷に見合った報酬が得られず、しかもCOVID-19による「戦時体制」においてもなお、自己犠牲を強いる考え方は、今後のCOVID-19との戦いにおいて、マイナスになることでしょう。

気持ちだけでは飯は食えない

我々看護師は、あくまで看護師という仕事をしているだけです。
多くの人が会社や官公庁などへ仕事に行くように、病院に仕事に行っているだけです。
そして、仕事をすることで給料を得て生活しています。
想像してみてください。
いきなり業務量は2倍になったのに、給料は変わらないばかりか、会社外の人から、望んでもいない拍手や鐘は鳴らされるのに、「社会のために働いているんだから金なんかいらないよね」と言われることを。

やってらんない。

感謝するなら金をくれ!

医療従事者への感謝の花火を上げるのであれば(4)同じ花火でも、COVID-19の収束を願う花火の打ち上げを批判する物ではありません。むしろそっちはどんどんやってほしい。もともと花火ってそういうもんらしいし。、COVID-19の最前線で戦っている看護師や医療従事者へ贈ってくれ!

誠意は言葉ではなく、金!

いずれにしても、少しでも、医療従事者の置かれた現状が伝わるよう、我々も情報発信していかなければならないと思いました。

References[+]