災害が多発する国だからこそ…「緊急告知FMラジオ“こくっち”」を購入

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今年7月の西日本豪雨では、岡山県内でも多くの被害が出ました。
堤防の決壊で浸水被害を受けた倉敷市真備町や岡山市東区平島地区を始め、無数の土砂崩れ現場や浸水地域では、今でも復旧・復興へ向けた取り組みが行われています。・
また他にも、阪神淡路大震災や東日本大震災、最近では北海道胆振東部地震や大阪府北部地震といった地震やそれに伴う津波はもちろん、今年多数発生している台風、雷や竜巻といった自然災害は避けようにも避けられない物になっています。

さて、そんなさなかに、私は岡山市から倉敷市へ引っ越しを行いました。
この引っ越しに伴い、これだけは購入・配備しておこうと決めていた物があります。
それがこちら。

緊急告知FMラジオ「こくっち」です。

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緊急告知FMラジオ「こくっち」とは?

緊急告知FMラジオ「こくっち」は、FMくらしきと倉敷ケーブルテレビが共同開発した、FMラジオで放送される緊急情報を伝達するためのラジオです。
FMくらしきの場合、倉敷市もしくは総社市から発せられる緊急起動信号を受信するとこくっちが起動し、最大音量で緊急告知放送が流れます。
なおFMくらしきで販売している物は、倉敷市と総社市のどちらかの緊急告知放送しか受信出来ない仕様ですので、購入時に倉敷市か総社市を選択することになります。
またFMくらしきしか聞くことができません。(岡山市のradio momoなど、他の放送局・自治体で導入されている物は、複数の放送局を受信出来るものもあります)

実際の動作の様子

平成30年台風24号の直前に購入したため、動作の様子を動画に収めてみました。

最初の音が緊急起動信号になります。
その後は恐らく防災無線と同じ内容で、声は伊東かおり市長だと思います。
放送が終わると、終了信号が放送され、それによってこくっちでの受信も終了となります。

防災無線や緊急警報放送、エリアメール(緊急速報メール)との違い

防災無線との違い

防災無線(市町村防災行政無線)は、自治体から屋外のスピーカー等を通して住民へ災害や緊急事態などの告知を行うものです。
これらは、自治体がその地域内を網羅できるようにスピーカーを設置して放送していることが多いのですが、次のような問題点があります

  • スピーカーから遠いところでは聞き取りづらい
  • スピーカーから近いところではうるさすぎる
  • 家の中では聞こえないこともある

そのため、自治体によっては、戸別に防災無線の受信端末を配布していることもありますが、この場合、無線の受信状態によってはアンテナ設置工事が必要になることもあります。
緊急告知FMラジオは、既存のFMラジオ局に割り込んで放送するため、設備が比較的簡易だったり、アンテナ設置工事が不要だったりします。

倉敷市では「倉敷市緊急情報提供無線システム」として、防災無線が整備されており、市内355ヶ所に屋外スピーカーが設置されています。
緊急告知FMラジオはそのシステムと接続して、防災無線をFMくらしきの電波で放送するようになっています。
また他の自治体では防災無線の受信端末として緊急告知FMラジオを配布している場合もあります。
このため、確実に防災無線を聴取することができます。

緊急警報放送との違い

緊急警報放送は電波法の施行規則に則って、東海地震の警戒宣言か、津波警報が発表されたとき、もしくは災害対策基本法による都道府県知事か市町村長の要請によって放送される物です。
この緊急警報放送は、まず緊急警報信号が放送され、対応した機器が自動的に起動し、あらかじめ設定した放送局が自動的に流れる物です。
これはNHKでテレビ・ラジオ共に運用されています。また一部の民放でも運用されています。

緊急警報放送では電波法の施行規則で放送されるものが規定されています。そのため、緊急地震速報や国民保護情報では自動的に受信機が起動されません。
また全国向けの他に各広域圏もしくは都道府県向けの情報しか放送できず、より狭い市町村単位での放送が困難です。
NHKによって全国がカバーされてはいますが、より生活に密着したエリアの情報となるとどうしても薄くなってしまう状況があります。
そのため、地元の情報を得るためには緊急告知FMラジオ「こくっち」の方がより適しているのではないかと思います。

エリアメール(緊急速報メール)との違い

エリアメールは気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報、自治体が発信する防災情報や避難情報を受信することができるシステムです。なお、エリアメールはNTTドコモでの名称です。
このエリアメールは携帯電話やスマートフォンに直接配信されます。そのため、専用の受信機を必要とせず、常に持ち歩くことができる点が最大の特徴となります。
この点においては緊急告知FMラジオ「こくっち」はかなわないと言わざるを得ません。
しかしながらエリアメールにも欠点はあります。

  • 多くの機種では通知音でエリアメールが来たことはわかるものの、内容は画面を目視してする必要がある
  • 一部の機種ではマナーモードに設定していると通知音が鳴らない(ASUSのZenFone 5など)
  • そもそもエリアメールに対応していない機種も存在する
  • 違う地域のエリアメールが届くことがある

こくっちでは、強制的にラジオが鳴りますので、音声として情報を確認できます。また基本的に設置している自治体の情報が流れますので、これらの点においてエリアメールよりも優位性が高いと言えるでしょう。

なお、運用面での問題として、先日の平成30年台風24号接近時においては、「避難情報について、エリアメールが鳴ってからこくっちが起動する」という点がありました。
おそらく、倉敷市ではエリアメールや、おかやま防災情報メール向けに情報を発信してから防災無線を放送しているためと思われます。
緊急地震速報やJ-アラートなどではおそらくこういうことにはならないかと思いますが…
とは言え、自宅にいても常にスマートフォンを見ているわけではないわけで、やはり音声で確認できる点は優位性があると思います。

普段はラジオとして使用可能

FMくらしきしか聞くことはできませんが、普段は普通の(FMくらしきしか聞けない)ラジオとして使用できます。
個人的にFMくらしきは開局当初からのリスナーですので、特に問題を感じたことはありません。
と言うか、基本FMくらしきかRSKしか聞かない……そして今の自宅はRSKが入りづらい(

我が家では、一応、ソニーの手回し発電機付きのラジオ「ICF-B99」も一緒に置いておき、FMくらしき以外の放送も聴けるようにはしています。

なお、私の職場に設置されていた岡山市の緊急告知ラジオは、岡山市のコミュニティFMのRadio momo以外にもNHKやRSKなどが聞ける仕様のようです。
ちなみに、緊急告知FMラジオは受信する放送局を変えることができませんので、違う自治体に引っ越した場合は使えなくなる問題があります。

設置は比較的簡単

設置は、電波が受信しやすい場所へこくっちを置き、電源を繋ぐだけです。
なお、ケーブルテレビが導入されている場合は、ケーブルテレビからのアンテナ線を分岐し、こくっちへ接続しても聞くことができます。こちらの方が確実ですが、分岐する手間がかかります。

ちなみに、こくっちには充電池が搭載されているため、停電してもラジオを聞くことができます。
また緊急告知放送が流れるときにはライトが光りますので、例え暗くても大丈夫です。

販売場所は少ない…

最大の難関が販売場所の少なさかもしれません。
FMくらしきの場合は、倉敷市白楽町のFMくらしき本社か、たましまテレビ、倉敷ケーブルテレビでしか購入することができません。
また8640円とそれなりにお値段がします…
この辺りが導入のネックになるかもしれませんが、確実に情報を得ることを考えれば安い物と言えるでしょう。
さらに倉敷市内でも地域によってはFMくらしきが綺麗に受信出来ず、ケーブルテレビを導入した方が良い場合もあるかもしれません。
幸い、新居にはたましまテレビが導入されていたため、受信できないという問題はありませんでした。

倉敷市以外でも導入しているところがたくさんあります

緊急告知FMラジオはFMくらしきと倉敷ケーブルテレビが開発し、倉敷市に導入されましたが、他の自治体でも導入しているところがあります。
岡山県内では総社市(FMくらしき)や岡山市(Radio momo)、津山市(FMつやま)、笠岡市・浅口市・里庄町(FMゆめウェーブ)が導入しています。
そのほか、政令指定都市では静岡市や新潟市、熊本市がコミュニティFMや県域のFM局の電波を利用して、他県の県庁所在地では盛岡市や岐阜市、和歌山市でも地元コミュニティFM局の電波を利用して導入しています。
それ以外の自治体でも地元コミュニティFM局やケーブルテレビを利用して緊急告知放送を行っているところがあります。
確かに全国どこでも使えるというわけではありませんが、導入している自治体では災害時の情報収集手段として有効に活用出来るのではないでしょうか。


先日の台風の際には、こくっちから流れる伊東市長の呼びかけが「何か起きそうになっても連絡が聞ける」という安心感がありました。
また普段から目に付くところ(我が家ではダイニングテーブルにおいています)に置くことで、防災意識も高まる気がします。
ぜひ、皆さんもお住まいの自治体が導入しているかどうか確認した上で、購入を検討してみてはいかがでしょうか。