大学で学業に行き詰まっている人は多いと思います。
私自身、10数年前に学業に行き詰まり、結果として留年を繰り返した末、中退しています。
私は中退という手段を取ったわけですが、休学という手段もありますよね。
そこで、学業に行き詰まったとき、どのような手段を取るべきか考えてみたいと思います。
なお、この記事における休学・中退は、基本的に大学生(あるいは短期大学生・専門学校生)を想定しています。高校生以下の場合はまた違う事情があるかと思いますので…
休学とは?
学長(もしくは学部長)が許可をすることで、一定期間授業を受けなくて良くなるものです。
一般的には学期単位で休学することになり、休学期間は在籍期間に含まれないため、休学した分だけ卒業年月が伸びます。
休学期間は学則によっても異なる可能性はありますが、大学の場合4年間までとなっていて、それ以上休学すると除籍となります。
休学のメリット
- 大学に籍を置いておける(身分上学生のままである)
大学に籍を置いたままですので、大学生を名乗る事ができます。 - 学業から離れることで、自由な時間が生まれる
休学期間は講義に出る必要はありませんので、時間を自由に使えます。
そのため、大学の学業以外でやりたかったことを集中的に行う事ができます。 - 精神的に余裕が生まれる(かもしれない)
学業に対して負担に感じていた場合は、そこから離れることで気持ちに余裕が生まれるかもしれません。そこから自分が本当にやりたいことを考え直すこともできるのでは無いでしょうか。
休学のデメリット
- 同期より進級・卒業が遅れる
これは言わずもがなです。休学した分だけ卒業年月が伸びるという事は、同期よりも進級や卒業が遅れます。 - 金銭的な負担がある
国公立大学の場合、休学期間中の学費がかからない場合もあるようですが、大学によっては休学期間中も一定金額の学費を納める必要があります。
また実家を離れて一人暮らしをしている場合などは休学期間をどこですごすのかなどを考える必要もあります。実家に帰るにしろ、そのまま一人暮らしをするにしろ、何らかの形で金銭的負担がかかります。 - 就活には不利になることがある
卒業が遅れるという所にも関係します。
もちろん、「他にやりたいことを極めるため」などのポジティブな理由があって休学するのであれば不利にはならないでしょう。
休学によって自分の能力を向上し、大学卒業以外の“武器”を手に入れることができれば、むしろメリットになり得ます。
しかし「病気で休学した」「なんとなく休学した」などのネガティブな理由の休学の場合、採用担当者からマイナスに見られてしまう可能性は否定できません。 - 学則によっては他の大学や専門学校に通うことはできない
大学の学則によって事情は異なりますが、多くの場合、大学に二重に在籍することを禁止していることと思います。
そのため、休学期間中に例えば資格を取ろうと思っても、他の専門学校や大学に通うことができない可能性があります。
このあたりは学務課(教務課)などに確認が必要になりますね。 - ダラダラとすごしてしまう(かもしれない)
なんとなく休学した場合は、休学期間中もダラダラとすごしてしまい、結果として休学期間を無駄にしてしまう可能性があります。 - 復学する際に精神的負担を感じる(かもしれない)
休学から復帰するとき(復学するとき)、それまで後輩だった人達とともに学ぶ場面が出てくると思います。
また学業から一定期間離れているため、ペースがつかめなかったり、内容を忘れてしまったりしているかもしれません。
そういったことを負担に感じることもあるのではないでしょうか。
中退とは?
中退とは大学(学校)を辞めることです。
退学願(あるいは退学届)提出し、学長(あるいは学部長)に退学が認められた時点で身分は学生では無くなりますし、学歴も大学中退(=高卒)となります。
中退のメリット
- 中退した時点で学費は発生しない
中退すれば学生では無くなるため、学費は不要になります。
そのため、学校に対する金銭的負担は無くなります。 - やりたいことに専念できる
大学での学業を行う必要がなくなるので、時間がたっぷり生まれます。
そのため、学業以外にやりたかったことに専念できる時間が生まれます。
やる気がなくなった学業をしなくて良いのは精神的にかなり余裕が生まれます。 - 大学に在籍していることによる「しがらみ」がなくなる
休学のデメリットに挙げた「他の大学や専門学校に通うことはできない」の裏返しになります。
中退してしまえば、今通っている大学以外の大学や専門学校に通うことに対してのしがらみは無くなります。
また就職しようが起業しようが何をしても大学から怒られることはありませんね。
中退のデメリット
- 学生では無くなる
まぁ当然ですが、中退した時点で学生身分は外れます。中退したあとの進路をよく考えておかないと無職ということになります。 - 学歴上、大学中退となる(=高卒)
ある意味で、一番大きなデメリットでしょう。
現在の日本は、大学を卒業することを前提として社会ができています。
高卒と大卒で賃金格差は歴然としています。さらに一般企業では大学新卒を前提とした採用活動がまだまだ多いです。
そのため、就活に不利になるばかりでなく、生涯賃金が減る、最悪の場合は正社員として就職することが全くできなくなるということも起こりえます。
もちろん、資格を取るためや他の大学に進学するためなど、明確なビジョンがあって中退した場合はデメリットにならない場合もある部分ではあります。 - 社会的評判が下がる
最終学歴が中退ですと「大学をちゃんと卒業出来ないような、だらしない人間」と見られてしまう可能性があります。
また、企業へ就職する際に採用担当者から「この人はちゃんと一つのことをやり遂げることができるのだろうか?」と疑問を持つこともあるでしょう。
そのため、大学中退を補える“武器”、例えば国家資格や特別な技能などを手に入れておく必要があります。
休学も退学もせずに通い続ける?
学業に行き詰まっている場合、休学や退学以外に「何らかの形でそのまま通い続ける」ということも考えられます。
その場合、例えば修業年限と取得可能単位数との兼ね合いも計算しなければならなくなります。
さらに「それまで単位が取れていないのなら、今後も単位を履修科目全て取れる可能性は低い」という事も加味しなければならないと思います。
行き詰まった状況を劇的に状況を改善させることができるのは、自分自身だけです。
しかし、それまで出来ていない事を気持ち一つだけでできるようになるなんていうのは甘えた考えです。
行き詰まった状況があるのであれば、通い続けるという選択肢はバッサリと切り捨てるべきでしょう。
一方で、例えば「あと1〜2科目取れれば卒業出来るのに」「思うように就職が決まらなかったから新卒を確保するためにもう1年…」と言った場合には、留年することも選択肢に入れて良いでしょう。
転学科や転学部はできないか?
もし、入学した学科とは別のことに興味が向いている場合、学科を変える転学科や、学部を変える転学部も選択肢に加えて良いでしょう。
転学科や転学部は大学によって制度が異なるため、一概に言えません。
しかし、大抵は何らかの形で試験・選考が課されると推測されます。
また既得単位の扱いなども確認する必要があります。
通い続けるかどうかを判断するタイミングは年度替わりの前がベスト
通い続けるかどうかを判断するタイミングは、年度替わりがベストだと思います。
これは、年度替わりで学年が上がるかどうかが一つの判断材料になるからです。
多くの大学では、4年生(4回生、4年目)で卒業研究を行えるかどうかで一つの関門が敷かれていることと思います。
この関門をクリアできるかどうかが判断のタイミングですね。
また私が通っていた当時の岐阜大学工学部のように、1年生から2年生に上がるタイミングでも関門がある場合があります。他にもどこかのタイミングで進級に関わる関門があるのではないでしょうか。
この関門のタイミングで「留年してでも勉強するのか?」「今まで出来ていない事が来年度本当にできるのか?」を冷静に考え直す必要があるのでは無いでしょうか。
私が思う、休学するか中退するかの判断基準まとめ
ここまでの内容をまとめました。
休学がいい人
- 学生身分のままで学業以外の世界を試したい人
- 復学して学業復帰する自信がある人
- 学業から少し離れて自分を見つめ直したい人
中退がいい人
- 学業以外のやりたいことに専念したい人
- 他の学校で勉強したい人
- 中退を補えるだけの“武器”がある人、もしくはそれを取得する意欲がある人
休学も中退もしない方がいい人
- あとほんの少しだけがんばれば卒業出来そうな人
- 完全に心を入れ替えて、それまでのマイナスを挽回するどころか大幅にプラスにできる自信がある人
- 具体的に言うと、例えば「今年度は2単位しか取れてないけど、来年度は30単位取得できる」と完全に言い切れて、翌年度これを確実に実行できる人。
はっきり言ってこんなことは無理です。これができるやつは最初から30単位取ってます。
「いや自分は来年度から変わるんだ」え、何言ってるんですか、そんなことできる訳ないのは自分がよく知ってますよね?
- 具体的に言うと、例えば「今年度は2単位しか取れてないけど、来年度は30単位取得できる」と完全に言い切れて、翌年度これを確実に実行できる人。
早い決断が可能性を広げる
どのような選択をするにしても、決断が遅れれば遅れるだけ傷口は広がります。
特に中退する決断は早い方が挽回しやすいと思います。
私の場合、2留したうえでの大学5年目での中退となり、またその後の専門学校の事もあって、同い年の大卒者と比べると6年も遅い社会人デビューとなりました。
もし最初に留年した時点で中退なり転学部なりをしていればと思うと悔いが残らないと言えば嘘になります。
もし進路について迷っている方がいましたら、参考にしていただければ幸いです。