インフラとなったファジアーノ岡山を定義する

スポーツをインフラのような存在にすることを目指している人のこのpostが私のTwitterのタイムラインで話題になっていました。

このpostの内容はとりあえず脇に置いておきます。
このpostを投稿した内富さんはファジアーノ岡山のクラブスタッフとして勤務されています。時々、ラジオのファジアーノ応援コーナーに出演されたりしている気がします。(名前は聞いたことがある)
内富さんは「スポーツをインフラのような存在にすることが人生のテーマである」とpostされています。

「インフラとなったファジアーノ岡山」とはどういうものか、定義づけが必要な気がするので、考えてみましょうか。

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インフラとはどういうものか

鉄道もインフラの一つ

インフラとは、インフラストラクチャーの省略であり、また「社会基盤」とも訳されます。
「国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設を指す」とされています。
具体的には、道路や橋、ダムなどの土木的なものを指しますが、学校や病院などの公共施設も含まれます。
そして、それらの建設コストは、利用者から直接料金を回収するのではなく、設備を利用したことで生まれる経済活動から得られる税収によって回収されます。

ファジアーノ岡山とはどういうクラブか

2003年、川崎製鉄水島サッカー部のOBチームであったリバーフリーキッカーズを中核として誕生した岡山県の男子プロサッカーチーム。
2009年よりJリーグディビジョン2(J2リーグ)に所属。
2016年にはクラブ史上最高のJ2リーグ6位でJ1昇格プレーオフに進出するも決勝で敗退。
過去5年のの平均観客動員数は8000人〜10000人で推移。

まぁこんなところで良いでしょう。

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サッカークラブがインフラとなる条件

これが非常に難しい。
そもそも、インフラは土木や公共施設を想定しているものなので、それらを利用して興行をするサッカークラブとは馴染まない…
そのため、インフラ自体の条件から私なりに考えてみました。

  • 誰もがそのクラブの存在を認識している
  • クラブが活動することで経済が活性化する
  • クラブが活動することで市民・県民の生活に彩りが加わる
  • そのクラブのことを老いも若きもサッカー自体が好きな人も嫌いな人も“心のどこかでなんとなく応援できる

最後の条件はTwitterにpostしたものです。

では一つ一つ、ファジアーノ岡山に絡めながら見ていくことにします。

誰もがそのクラブの存在を認識している

Cスタでのビッグフラッグ

これは知名度のことです。
道路にしても病院にしても、その存在が知られていなければ利用されることはありませんよね。
クラブ自体の存在が認識される必要があります。
ファジアーノ岡山に関して言えば、知名度はJ2昇格以来、確実に向上していると思われます。
地元メディアでも、テレビ・ラジオ、新聞はもちろんのこと、タウン誌などでもファジアーノ応援コーナーが設けられています。
岡山駅でのビラ配りやポスターローラー作戦、さらには選手によるホームタウン活動などで、知名度の向上が図られていると考えられます。
ファジアーノ岡山の知名度を調査した資料は見つけられていません1 が、体感的には岡山県内ではそこそこ以上の知名度があり、存在も知られていると思います。

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クラブが活動することで経済が活性化する

これに関しては、トマト銀行と日本政策投資銀行が共同で出したミニレポート(リンク先pdf)の中に触れられていました。

それによると、J2昇格した2009年にファジアーノ岡山が地域に及ぼした経済効果は年間11億1700万円と試算されています。
データは古いですが、ファジアーノ岡山の活動によって地域に経済効果がもたらされた実績があるということは言えるのではないでしょうか。

サッカークラブの場合、県民・ホームクラブのサポーターのみならず、県外からアウェーサポーターが駆けつけ県内で飲食や宿泊等を行います。
そのため、外からお金を引っ張ってくると言う側面も指摘できます。

クラブが活動することで市民・県民の生活に彩りが加わる

ファジアーノ岡山はプロのJ2クラブ(2019年時点)である以上、年間に42試合のリーグ戦を戦います。
そしてJ1昇格をかけた戦いに挑むわけです。
そのクラブを応援することは、市民・県民の生活の中で刺激となり、ファジの選手がゴールを決めれば喜び、ファジが勝てば歓喜に沸き、負ければ泣き…
もしJ1昇格を決めれば、その試合を見にいった人だけでなく、市民・県民が何らかの形で喜ぶこととなるでしょう。
しかし、仮にJ3降格してしまったとしても、応援した事は決して色あせるものではないわけです。
そのため、現在でもファジアーノ岡山が活動していることで、市民・県民の生活には彩りが加わっていると思います。

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そのクラブのことを老いも若きもサッカー自体が好きな人も嫌いな人も“心のどこかでなんとなく応援”できる

最も重要なのはここではないかと思っています。
ファジアーノ岡山は営利企業の形態(株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ)を取っており、かつそれ自体は「既存のインフラを利用しているサービス業」であるわけです。
しかし、それでもインフラのように普遍的な存在を目指すのであれば、「心のどこかでなんとなく応援できる」ような存在になることが重要だと思うのです。
しかもそれは、年齢性別関係無く、しかもサッカー自体の好き嫌いですら関係無く、究極を言えば岡山県民195万人+全世界に住む岡山県に縁がある人全員が「なんとなく応援してくれる」状態です。

これは非常に難しいことです。
サッカーが好きな人は取り込みやすいでしょう。
しかし、私のようにサッカー自体が大嫌いな人をどうやって取り込みますか?
サッカー自体の魅力や応援の熱さでは取り込めない層が確実に存在します。
また、病気や子育て、介護、仕事、居住地、経済的事情などあらゆる事情でスタジアム観戦ができない人もいます。
高齢の方はそもそもサッカーではなく野球の方が馴染み深いという方もいるでしょう。
それでも全ての人々に「なんとなく応援してもらう」事が必要になってきます。

なんとなく応援してもらうためには、まず否定的な感情を持たれないようにすることが必要ではないでしょうか。
そういった意味で、近年続いた応援関係のトラブルは、当初のクラブの対応も含めてマイナスに働いたんじゃないかな…と危惧しています。
また、「なんとなく」なので、スタジアムで応援してもらう事を求めてはいけません。
「なんかファジアーノ岡山がんばっとるなぁ」「J1昇格したんか、すげーなー」「なんや、降格したんかだらしねーな」ぐらいのレベルで応援してもらえれば、インフラとして十分なのではないでしょうか。

実際にスタジアム観戦をするかどうかは別問題

国立競技場での試合風景

なんとなく応援してもらえるようになっても、実際にスタジアムに行くとは限りません。そしてインフラになったとしても、毎試合見にいくとは限りません。
物理的・経済的問題があるからです。
例えば、重要なインフラである鉄道や高速道路、空港などを毎日利用していますか?
食べ物や商品の輸送で毎日使われてはいますが、消費者が直接使うわけではありませんよね。
間接的に使われることもあるのがインフラです。

もし、ファジアーノ岡山を直接使う顧客、すなわち観客動員数を大幅に増やしたいのであれば、インフラを目指しすぎないほうが良いと思います。
インフラはあくまで基盤であり、直接使われるとは限らないからです。
もちろん、なんとなく応援してもらえれば、たまにはスタジアム観戦しようかという人もでてくることでしょう。そのため、増やす効果がないわけではありませんが、劇的な効果はありませんね。
いずれにしても、実際に観戦するかどうかはまた別のアプローチが必要になってくると思います。そこは木村前社長時代に様々に行われていた事が生きてくるのかなと思います。

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県民が心一つに燃えることができるかもしれない存在であることを忘れないで

岡山県民はクールな県民性だと言われています。
それは県が自ら「燃えろ岡山県民運動」を展開したほどです。
しかし、岡山県で県民が心一つに燃えることができる存在になる可能性があるのがファジアーノ岡山です。
そういった存在になるためにはインフラのような存在になることも方法の一つかもしれません。
ファジアーノ岡山が県民の心を掴み続けるためにも、クラブに関係する全ての人々が「ファジアーノ岡山はどう言う方向性をめざすのか」をもう一度定義し直すことが必要なのでは無いかなと思います。

  1. リーグによる調査はあるんでしょうけど、バイアスがかかりそうなので… []

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