実際に利用した看護師が教える病院奨学金のメリット・デメリットと選ぶポイント

看護学校や看護大学に入学するにあたり、学費をどう工面するかという問題が出てくることと思います。
学費はなんとかなったとしても、看護学生は実習があるため、なかなかアルバイトをしづらい側面がありますし、一人暮らしでは生活費や趣味などのお金をどうするかという悩みも出てきますよね。

学生がお金を工面する方法として、奨学金を借りる方法がありますよね。
看護学生が使える奨学金の中には、病院奨学金という病院が独自に行っている奨学金制度があります。
この病院奨学金制度、私は実際に利用しましたが、メリットもあればデメリットもある、諸刃の剣とも言うべき存在です…

そこで、実際に利用した私が思う、病院奨学金のメリット・デメリットと、病院奨学金を受けるに当たって選ぶべきポイントをまとめました。

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病院奨学金とは

病院奨学金とは、病院が学費を貸与する奨学金制度です。
貸与なので、基本的には返済する必要があるのですが、病院奨学金では、その病院で看護師として一定期間働けば返済免除になります。 (1)稀に利子分の返済を迫られるケースもあるようですが、私は働けば免除になる病院しか知りません。

それぞれの病院が独自に行っているものですので、病院によって詳細は異なります。
また金額も月1万円程度のところもあれば月10万円のところもあります。
私が学生の時の相場としては、月5万円でした。ちょっと大きめの病院だと金額が下がってたり、「大変なんだろうなここ…」という精神科病院なんかは相場よりも高額だったりしました。

返済免除になる条件を満たすための「お礼奉公」とは

病院奨学金が返済免除になるためには、一定期間、その病院で働かなければなりません。これを俗に「お礼奉公」と呼んだりします。
病院によって条件は多少違いますが、多くは次のような感じだと思います。

  • 看護師資格を取得し、その病院で○年間働けば返済免除になる
  • 返済免除になる前に退職する場合には、貸与された奨学金を返済すること
  • 万が一、その病院に就職しない場合も、貸与された奨学金を返済すること

なお、奨学金を借りたからと言って、例えば就職後の給料が借りてない人よりも少なくなったり、配属等で不利になったりすることは基本的にないと思います。 (2)少額でも返済を求められる場合に、給料から天引きされる可能性はありますが…
なので、「病院で借りた奨学金は、その病院で働いて返す」ということですね。

私が利用した病院奨学金の場合

私が利用した病院奨学金の場合は、次のような感じでした。

金額は相場(月5万円)よりも高かった

精神科病院だからかもしれませんが、相場よりは高かったです…というか、金額で決めた側面は確かにあります(苦笑

奨学金を受けた期間だけ働けば返済免除

私の場合は、3年間借りたため、3年間働いたことで返済免除になりました。

奨学金を受けるために、明確な試験はなかった

「病院奨学金を受けたいけど、まず資料が欲しいのと、見学させて欲しい」と連絡したら、資料が来たはず。その中にあった申込書だったか申請書だったかを記入して、学校からの推薦書 (3)看護学科へ入学前だったので、介護福祉科の先生に書いてもらった を持って行って見学したら、なぜか後日「奨学生として採用します」と連絡がきました。
…あとから考えたら、総師長や事務長から説明を聞いたときに一緒に面接をされていたんだと思います。

奨学金を受けていても採用試験(面接)は受ける必要があった

奨学金もらってるから採用されたもんだと思って看護学生生活を送っていましたが、全ての実習が終わったあとぐらいに「奨学金もらってるんですが、採用試験とかは受ける必要がありますか…?」と電話で聞いたら、「一応面接しますので、履歴書持ってきてください」とのことでした(;・∀・)
指定された日にいったら、採用前提で話がすすみ、希望する部署とか、就職したらどこから通うのか (4)寮があるなら寮に入りたいと言った記憶 とかを聞かれたような気がします。

病院奨学金を受けるメリット4個

では、私の思う「病院奨学金を受けるメリット」を紹介します。

一定期間働けば返済不要になる

これが、最大のメリットだと思います
普通の奨学金の場合、月数万円ずつ返していくのはなかなか大変です。
しかし、病院奨学金は一定期間働きさえすれば返済不要になるため、返済を意識することがありません。そして他の奨学金だったら返済に回るお金を別なことに使うことができ、財布に余裕も生まれます。

就職先が決まるため学業に集中できる

病院奨学金を受けた時点で、その病院への就職が事実上決まります。
私の事例のように、採用試験を受ける必要がある場合もありますが、それでも奨学金を受けている場合は、採用前提での試験となることでしょう。
そのため、本来であれば学業や実習と並行して行うことになる就職活動が不要になり、学業や実習に集中することができます。

看護師となったあとの将来を早い段階から想像しやすい

就職先が事実上決まった状態で学生生活を送るため、学習しながら「就職先はこんな感じなのかな」「これは絶対に必要だよな」と言ったことが想像しやすいと思います。
私の場合は、精神科病院ということもあり、精神看護学や老年看護学の授業では特に「きっとこれは身につけておかないといけないよな」と言う事が多かったです
もちろん、想像と実際は違いますが、将来をより具体的にイメージできたという意味では、病院奨学金を受けてよかったと思っています。

病院によっては学業面や生活面のサポートもある(らしい)

私の場合はなかったのですが、病院奨学金を出している病院の中には、国家試験に向けてのサポートがある病院や、生活費の支援をしている病院もあるようです。
また、看護学校の入学前に病院奨学金を受けることを決めている場合は、看護学校の面接の練習や、入試の勉強をサポートしてくれる病院もあるらしいです。

病院奨学金を受けるデメリット2個

メリットがあればデメリットもあります。
私が思う病院奨学金を受けるデメリットも紹介します。

その病院で働くことができないと一括返済を迫られる

これが最大のデメリットですね…
全ての病院が奨学金を出しているわけではありませんのである程度限られた中から選ぶことになります。
しかし、看護学生として学習を進める中で「奨学金をもらってる病院じゃないけど、この病院で働きたい」「精神科単科の病院から奨学金もらってるけど、オペ室の看護師になりたい」などと別な病院で働くことにした場合に、一括返済を迫られる可能性が高いです。
また、国家試験に合格できなかった場合や中退した場合も、一括返済を迫られる可能性があります。 (5)病院にもよるとは思いますが…
就職先が決まっていると言うことは、他の選択肢がなくなっているという状態ですので、ある程度の覚悟を持って奨学金を受けなければならないと思います。

そもそも一定期間働くのが大変

就職してからも決して楽ではありません。
返済免除になるまでの期間、心身共に健康な状態で勤務を続けなければなりません。
激務の中で精神的に病んでしまったり、身体的に故障を抱えて看護師として働けなくなったりする可能性は決してゼロではありません。
実際、私の看護学校の同期には、病院奨学金を受けていたものの、余りに仕事が過酷すぎて、一括返済して退職してしまった人もいます。
逃げ道がない状態は、シンプルに働けば良いという反面、辛い状態になっても仕事を続ける以外の選択肢が取れないと言う事でもあります。

病院奨学金を選ぶポイント

私が思う、病院奨学金を選ぶポイントを挙げます。

長く勤めている人が多い?離職率はどう?

本来は一番大きいポイントだと思います。
日本看護協会が2019年5月に公表した「2018年病院看護実態調査」によると、2017年度の看護職員離職率は新卒者で7.5%、正規雇用者で10.9%とのことです。
個々の病院の離職率はなかなか発表されていません。仮に病院へ直接問い合わせたとしても明確な数値は教えてもらえない事がほとんどでしょう。
しかし、長く勤めている人が多そうな病院はそれだけ離職率が低いと考えられます。そういった観点から選んでみると良いと思います。

…とはいえ、看護学生ではここまで調べるのも難しいとは思いますけどね……

リハビリや療養型、慢性期の病院?

なかなか離職率は分かりませんが、どのような病院かは比較的わかりやすいと思います。
あくまで私のイメージですが、療養型やリハビリ病院、慢性期を専門に扱っている病院の方が、比較的落ち着いて仕事ができるのではないかと思います。
急性期の病院は、看護の展開にスピード感が求められるため、面白さはあると思いますが、日々の仕事に追われてしまい、精神的に追い詰められる危険性があるのではないかと考えます。
私自身は新卒以来、精神科病院の療養病棟のようなところで勤務しています。看取りの場合はともかく、普段は日々の変化が比較的少なく、ゆったりと落ち着いて仕事ができています。
返済免除になるまで仕事を続けることを考えると、落ち着いて仕事ができる環境の可能性が高い病院を選ぶ方がいいのではないかなと考えます。

子育てをしている看護師が多い?

これは二つの側面があります。

一つ目は、子育てをしている看護師が多いという事は、業務を行うにあたって、ゆとりを持ちやすい病院であるということです。
子どもがいるとどうしても子どもの事情で動かなければならない場面が出てきます。例えば、子どもが熱を出したとか、学校で怪我をしたとかということがありますよね。
そういったときに、有休なり看護休暇なりを使用できる環境ということは、元々の業務にゆとりがあると言えます。

もう一つは、先輩看護師の仕事に対するスタンスです。
子育てをしていると言うことは、家庭を持っているということでもあります。
そして、先ほども挙げましたが、子どもの事情で動かないといけない場面もあります。
そうなってくると、仕事に対して全力で挑み続けることはなかなか難しくなってきます。そのため、仕事に対しても余裕を持って取り組む人が多く、新人に対して厳しく接しすぎない人が多いと思います。
これが独身だったり、結婚していても子どもがいなかったりすると、仕事が占める割合が相対的に増えますので、よりストイックに、厳しく仕事をしていく傾向が出てくると思います。そういう人は、やはり新人に対しても厳しく当たる傾向にあるように思います。 (6)実際、私が新人時代、厳しく接してきた人は独身者か子どもがいない人でした。

(やや特殊)すでに介護スタッフや看護助手として働いている病院?

例えばアルバイトとして、すでに働いている病院であれば、雰囲気や人間関係なども把握できていると思いますので、その病院から奨学金を受けると言う選択肢は有りだと思います。
他の新人と違って、病院の事は分かった状態で仕事を開始できますから、看護師としての業務に集中できるというメリットもあります。

ご利用は計画的に、そして慎重に!

奨学金はあくまで借金です。
しかも病院奨学金は、看護師人生の最初の数年間を決定づける物でもあります。
もちろん、返済免除になるという大きなメリットもあります。
利用する際には計画的に、そして慎重になりましょう。

References   [ + ]

1.稀に利子分の返済を迫られるケースもあるようですが、私は働けば免除になる病院しか知りません。
2.少額でも返済を求められる場合に、給料から天引きされる可能性はありますが…
3.看護学科へ入学前だったので、介護福祉科の先生に書いてもらった
4.寮があるなら寮に入りたいと言った記憶
5.病院にもよるとは思いますが…
6.実際、私が新人時代、厳しく接してきた人は独身者か子どもがいない人でした。

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