看護師の業務と言えば、患者さんの看護な訳ですが…
私のような男性看護師もそれは同じです。
しかし、男性ならではの業務もたまにあります。逆に男性には事実上無理な業務もあったりします。
今回はそんな業務の実態を紹介していきたいと思います。
男性看護師が呼び出される業務
「体力勝負!」な事態が起こると積極的に男性看護師が呼び出される事になります。
具体的には…
- 暴れる患者さんを抑えるとき
- 体重が重い患者さんを、ベッドからストレッチャーなどにに寝たまま移動するとき
- 重い物を運ぶとき
と言ったあたりでしょうか…
暴れる患者さんを抑える
精神科では特によくあることと思いますが、一般科でもあります。
例えば整形外科勤務の知人も、暴れる患者さんはいると言っていましたし、そういったときに男性が駆り出されるのは容易に想像できます。
精神病院の場合、幻覚や妄想などの影響で周りの人に対して暴力を振るう患者さんがよくいます。
また暴力まではいかなくても、身の回りのもの…例えば食器や枕などを投げつけたりする人もいます。
そういった方に対して、例えば頓用の注射や内服薬で精神状態を鎮める手段を取ることがありますが、その際にはスタッフの安全を確保する意味でも複数の男性職員で対応することになります。
また一般科でも、認知症などがあり理解力などが低下している場合や発熱などにより、せん妄と言って一時的に精神的に錯乱状態に陥ることがあります。
せん妄状帯になると、精神疾患の患者さん同様、暴力などに訴えてしまう患者さんも少なからずいます。
これらの暴力的な事態が発生し、病棟のスタッフだけでは足りない場合、他病棟の男性スタッフを呼び出して行うこともあります。
体重が重い患者さんを寝たまま移動するとき
これはまぁ文字通りですね。
ストレッチャーと言って寝たまま移動できるものがありますが、ベッドからこういったものへ移乗させるとき、体重が重い患者さんの場合は男性スタッフの出番だったりします。
私自身、男性としてはそんなに力が強くありませんが、それでもよく呼ばれます(笑
また入浴介助を行う日だと優先的に男性スタッフが駆り出されているような気がします…
寝たきりの患者さんの入浴介助はほぼ移乗の連続ですので、まさに体力勝負です。
重い物を運ぶとき
これもまぁそのままです(笑
普通の会社とかでもあるのではないかと思いますけどね…
男性看護師には無理…な業務
男性看護師にはさせてもらえなかったり、どうしても無理な業務というものも存在します。
男性であるという部分で、できなくなってしまっているのです…
産婦人科や周産期医療での看護業務全般
周産期とは出産前後の時期を指しますが、周産期医療や産婦人科関係では男性看護師はほとんど働いていないと思われます。
これはどうしても妊娠・出産を扱う関係上、男性ではなかなか対応できない部分があるからです。
男性が助産師になれないのもこの辺りが関係しているのかもしれませんね…
男性の産科医はいるんですけどね。看護師はより患者さんと寄り添うという所もありますので…
また婦人科系の疾患だと、例えば乳がんに対する治療だと、乳房という女性にとってはなかなか他人に見せたくない部分が関わってきますので、どうしても男性には難しい場合があります。
私自身の経験としては、学生時代の母性看護学実習(産婦人科)の際、外来見学する時間がありましたが、その際、女子看護学生は診察室に入って、実際の診察や内診(膣内の診察)を見学できたのに対し、男子看護学生は患者さんの視界に入らない所で、診察の声だけを聞き、内診に至っては声すら聞けないというものでした…
その実習では出産する産婦さんがいた場合は出産の見学をさせてもらえる事になっていましたが、運悪く出産する方がいらっしゃらなかったこともあって、ひたすら演習(分娩室を使って出産のデモストなど)と外来見学(声しか聞けない)という、一体何しに来たのか…という実習になってしまいました…
男性嫌いの患者さんの看護
まぁ無理と言うか難しいっていうレベルなんですが…
男性が嫌いな患者さんに対するケアが難しい場合があります。特に女性の認知症患者さんによくあるケースです。
そういう場合、私は女性看護師に任せてしまいます(苦笑
ただ、まれにスタッフが男性しかいない時もありますので、そういう場合は申し訳ないのですが、なんとか説明してケアをさせていただくこともあります…
女性看護師と男性看護師で他に違いはあるの?
勤務している診療科でいうと、男性看護師は精神科で勤務しているケースが多いです。
これは以前の看護師養成カリキュラムでは、男性に対して精神科勤務を想定したカリキュラムを組まれていたというのも影響していると思われます。
ただし、現在はカリキュラム上で男女の違いはありません。
精神科では体力勝負な事態が多いため、どうしても男性が多くなりやすいですが、最近は一般科でも男性看護師が増えてきています。
そのため、男女で看護師の業務に大きな違いはなくなって来ていると言えるのではないでしょうか。
もちろん、先に述べたように、産婦人科や周産期医療では男性はなかなか厳しい面はありますが、小児科だとむしろ男性の方が人気が出るのかも…?
まとめ
「男性看護師ならでは」な業務はやはり体力勝負な業務が中心になります。
また産婦人科や周産期医療では男性が関われない場面も確かにあります。
ですが、それを除けば男女でさほど業務に差がないのも事実です。
私自身、男性嫌いの患者さんへの対応と暴力的な事態への対応を除けば、女性の同僚と業務の差を感じたことはありませんし…
ある意味で、看護師は男女平等な仕事なのかもしれませんね。